影山 隆之

更新日2016.04.28

 

1)プロフィール

 札幌で生まれ育った習性はいまだ抜けない(暑さに弱い、雪が積もると興奮する、しかし冬の室内では寒がり、等)。学生時代を東京で過ごした後、茨城県(つくば市)で単車通勤に親しむ(→原付で死なないために)。大分に来て、温和な自然と人事、どこまで山奥に分け入っても集落があることにひとりで感心している(北海道では少し走れば人の住まないところに行ける)。
 いちばんの趣味は音楽(クラシック、ジャズ、教会音楽、一部の民族音楽)。中2からクラリネットを始め、高校からオーケストラにはまる。大好きなのはドイツ・北欧系音楽(ブラームス・バッハ・シベリウスなど)、演奏活動やコンサートツアーなどの企画の経験が、人格形成に強く影響した事実は否めない(その意味は本人に会えばわかるでしょう ^^;)。北欧でもフィンランドは、音楽面に限らず大ファンである。
 先年、大病をして2ヶ月半仕事を休んだのは、大きな経験だった。「主よ、深い淵から、私はあなたを呼び求めます。」(Psalm130:1) 絶望しないために必要なこと、リハビリのために必要なことを知ったという意味で、死なない程度に厳しい病を味わうことは、仕事柄意味のあることだったと考えている。
 大学院の研究科長になったのを機に、改めて、看護について思うところを整理しなければと考えている。

2)最近の主な研究活動

(1)職域メンタルヘルスについて
 質問紙や生理的指標(心拍変動など)を用い、職業性ストレスの調査や<span '="">、(2)の睡眠研究とリンクした夜勤・交替勤務の影響の調査を行ってきた。長期間かけて開発したストレス対処特性簡易尺度(BSCP)は、各方面から照会をいただいているが(→BSCP最終バージョンはこちら、 (170.2KB)→全容の報告書はこちら) (1.3MB)、これに関する書籍を執筆中。交替勤務者への生活指導による睡眠改善の試みも続けている。
 神村英利,影山隆之:薬学部学生のストレス対処特性と実務実習における職業性ストレス.産業ストレス研究, 19, 383-387, 2012.(長期実習中に薬学生のコーピング特性が変容すること、およびその変化と精神健康の変化に相関があることを実証した。)
 Kageyama T, Kobayashi T, Abe-Gotoh A: Correlates to sleepiness on night shift among male workers engaged  in three-shift work in a chemical plant: its association with sleep practice and job stress. Industrial Health 49: 634-641, 2011. (交替勤務者で、夜勤連続時の昼間睡眠の前の飲酒、カフェインを控えること、入浴することなどが、夜勤に従事している間の眠気と関連することを示した。)
 Tomotsune Y, Sasahara S, Umeda T, Hayashi M, Usami K, Yoshino S, Kageyama T, Nakamura H, Matsuzaki I.: The association of sense of coherence and coping profile among research park city workers in Japan. Industrial Health 47: 664-672, 2009.(2004にBSCPの旧バージョンについて発表したが、最終バージョンに関する基礎データを初めて原著論文化した。)
 玉井保子,影山隆之,前田ひとみ.:新人看護師に対する先輩看護師の自己表現態度について-アサーション的観点からの検討. こころの健康 22(2): 66-79, 2007.
 Yamagishi M, Kobayashi T, Nagami M, Shimazu A, Kageyama T: Effect of web-based assertion training for stress management of Japanese nurses. J Nurs Manag 15(6): 603-607, 2007.
 Kageyama T, et al.: Association of sleep problems and recent life events with smoking behaviors among female staff nurses in Japanese hospitals. Industrial Health 43 133-141, 2005. (2001の論文の追加解析で、病院の女性看護職における喫煙行動が眠気への対処行動と解釈できないこともない、という結果を得た。確認のための追加研究が必要である。)
 影山隆之,:勤労者のためのコーピング特性簡易尺度(BSCP)の開発:信頼性・妥当性についての基礎的検討.産業衛生学雑誌 46 103-114, 2004. (BSCPの開発経過に関する最初の論文、BSCP Ver.2の信頼性と妥当性について基礎的なデータを報告した。なおBSCPはその後、改訂して最終版Ver.3を作成した。)
 Kageyama T, et al.: Cross-sectional survey on risk factors for insomnia in Japanese female hospital nurses working rapidly rotating shiftsystems. J Human Ergology 30; 149-154, 2001.(5つの病院の看護職者に対して睡眠と職業性ストレスに関する質問紙調査を行い、年齢24歳以下・最近の休日数少ない・最近の深夜勤少ない・同僚上司の支援少ない・重篤な患者を受け持つ、という要因が不眠症と関連していることを報告した。)
 錦戸典子,影山隆之,小林敏生,原谷隆史:簡易質問紙による職業性ストレスの評価:情報処理企業男性従業員における抑うつ度との関連.産業精神保健 8:73-82,2000.(産業保健活動や研究に使いやすい職業性ストレスの簡易質問紙を開発し、ホワイトカラー勤労者の抑うつ度との関連を報告した。)
 Kageyama T, et al: Long commuting time, extensive overtime, and sympathodominant state assessed in terms of short-term heart rate variability among male white-collar workers in the Tokyo Megalopolice. Industrial Health 36:209-217, 1998.(職場の定期健診時に男性勤労者の心臓自律神経活動を心拍変動によって測定したところ、長時間通勤者や長時間残業者ではそのバランスが崩れて交感神経優位になっていることが明らかとなり、心循環系ストレス疾患の前駆状態との関連が疑われた。)

(2)睡眠と精神健康について
 一般住民や職場集団(とくに交替勤務者)の不眠・睡眠負債・眠気などについて、調査してきた。(4)との接点として2005年度からは介護予防の一環として高齢者への快眠教室を試み、まずまずの成果を得た。環境省から騒音制御工学会への委託研究班に参加して、騒音の睡眠への影響に関する近年欧米での研究・報告のレビューワークも行っている。交替勤務者の生活習慣指導による睡眠問題改善の効果について検討中。風力発電施設の発生音による周辺住民の睡眠への影響についても論文をまとめつつある。
 Kuwano S, Yano T, Kageyama T, Seoka S, Tachibana H.: Social survey on wind turbine noise in Japan. Noise Control Engineering Journal 62: 503-520, 2014.
 Kageyama T, et al.:Estimated sleep debt and work stress in Japanese white-collar workers.Psychiatry Clinical Neurosci 55:217-219,2001.(出版社の社員を調査し、残業時間および主観的に評価した仕事の量的負荷がそれぞれ独立して、平日の睡眠負債と関連していることを示した。)
 影山隆之,新田裕史,黒河佳香,:日本人成人男女における周期性四肢運動障害様症状,restless legs様症状,睡眠時頻尿の有症率.厚生の指標 47(6):12-17,2000.(一般住民の疫学調査から、不眠症リスクファクターの一つとして睡眠時頻尿およびrestless legs様症状も重要であることを示した。)
 Kageyama T, et al: Self-reported sleep quality, job stress, and daytime autonomic activities assessed in terms of short-term heart rate variability among male white-collar workers. Industrial Health 36:263-272, 1998.
 Kageyama T, et al: A population study on risk factors for insomnia among adult Japanese women: a possible effect of road traffic volume. Sleep 20:963-971, 1997.( 女性一般住民にとっての不眠のリスクファクターで、公衆衛生学的に問題性の大きい要因は、加齢、疾患の有無、ライフイベント、就寝時刻の不規則性、睡眠時無呼吸様症状などの他、道路交通騒音も重要なリスクファクターであることを明らかにした。男性については上記、厚生の指標(2000)論文中に述べられている。

(3)自殺予防について
 ライフワークと考えている。自殺予防学会理事、自殺予防のための電話相談ワーカーの研修も経験した(→厚労科研の分担研究で青少年の自殺予防についてまとめた報告書はこちら (1.3MB))。大分県の2つの「うつ」対策モデル事業(2005年度~、地域・職域での早期発見システムの確立と、周産期「うつ」予防)に関わり、大分県「うつ」対策マニュアル(保健医療従事者のための)、高齢者の支援に従事する人のための「うつ」問題対応マニュアルやパンフレットの作成に協力した。2007年度から大分県自殺対策連絡協議会メンバーとなり、県の委託で「県内事業所のメンタルヘルス実態調査」「地域保健師の自殺に関する経験・意識についての調査」「救急車で搬送された自損事例の背景調査」「住民の心の健康基礎調査」を実施した(→住民調査の報告書はこちら (890KB))。
 Kageyama T: Views on suicide among middle-aged and elderly population in japan: their association with demographic variables and feeling of shame in seeking help. Psychitary Clinical Neurosc 65: 105-112, 2012. (40-75歳の一般住民を横断的に調査した結果、生死は個人の判断に任せるべきだという自殺容認的な見方や、生きていればいいことがあるとは思わないという悲観論者は、辛い時に助けを求めることを恥とする傾向が明らかになった。)
 影山隆之:大分県において「自損行為」で救急車が出動した事例の発生率と性・年齢分布. 自殺予防と危機介入 32(1) 53-59, 2012.(救急車で搬送された自傷患者の統計を分析し、若い女性に多いことや、地域の自殺既遂者の約半数に関して119番通報があったことを示した。)
  影山隆之:青年期における自殺の予防.保健の科学 54(3):185-189,2012.(青年春期における自殺リスクの徴候および自殺対策の戦略についての総説。)
 岡田麻衣,影山隆之:大分県における性・年齢階級別の「病苦」自殺率および「経済・生活苦」自殺率.看護科学研究 8: 1-8, 2009.
 坂本真士,田中江里子,影山隆之:自殺の新聞報道の現状と問題点.こころの健康 21(2): 44-53, 2006.
 影山隆之,他:地方公務員集団における婚姻状況およびストレスコーピング特性と自殺への「共感」-勤労者の自殺予防のための予備的検討.こころの健康 20(2): 97-101, 2005.
 坂本真士,影山隆之:報道が自殺行動に及ぼす影響:その展望と考察.こころの健康 20(2): 62-72, 2005.
 影山隆之:最近20年間の日本における青少年の死生観・自殺観に関する研究.こころの健康 18(2): 70-76, 2003.
 影山隆之:疫学からみた日本の自殺.樋口輝彦編:自殺企図その病理と予防・管理,永井書店,大阪,1-8,2003.

(4)地域精神保健について
 離島の地域精神保健・医療を学位論文のテーマにして以来、研究をするにしても地域に貢献できる仕事を心がけている。県立大学として、県精神保健福祉センター・保健所や市町村との共同作業や、地域ワーカーのための研修活動も多い。2003年度は厚労省委託研究のサブテーマで精神障害者グループホームについての全国調査を行った。
 影山隆之,:精神障害者グループホームおよびショートステイの有効性に関する研究.新保祐元編:平成15年度精神障害者社会復帰促進調査研究等事業 社会復帰関連施策の有効性に関する研究 平成15年度総括・分担研究報告書 pp.83-118,2004.
 影山隆之,:在宅精神障害者の日常生活における困りごと・苦手なこと~当事者と家族との意識のずれ.大分看護科学研究 3:33-39,2002.(保健所・精神保健福祉センターとの共同調査)

(4)学校精神保健について
 大学院時代に一般の高校で理科を教えていたこと、予備校カウンセラーを経験したこと、そして何より自分自身が教育という仕事に強い関心を持っていることから、ライフワークの一つと考えている。十数年にわたり保健体育の文科省検定教科書の執筆にも関わっている。
 戸田芳雄,(共著):新しい保健体育,東京書籍、東京,2012.(文科省検定中学校教科書)
 戸田芳雄,(共著):新しい保健,東京書籍、東京,2011.(文科省検定小学校教科書)
 津川律子,影山隆之:: 日本の中学校・高等学校の検定教科書における自殺関連記述の検討-学校教育場面における自殺予防教育の今後の課題を探るために. こころの健康 20(2): 88-96, 2005.
 影山隆之:電子メールによる学生相談の意義と課題-ある国立高等専門学校での全数調査による利用希望の検討.学校保健研究 46:529-542, 2004.

(6)トラウマとストレスについて
 小西聖子教授(武蔵野大)らの研究班と共同で、被害者および被害者相談ワーカーへの支援システムについて研究を進めてきた(厚生科学研究助成)。精神衛生学会MCRT(メンタルクライシスレスポンスチーム)の一員として、惨事に遭遇した消防隊員の心のケアについても関わる。
 吉田博美,他: ドメスティック・バイオレンス被害者における精神疾患の実態と被害体験の及ぼす影響. トラウマティック・ストレス 3(1):83-89,2005.
 稲本絵里,:被害体験と「回避」の機制-性暴力被害の住民研究から.精神保健研究,15: 35-41, 2002.
 石井朝子,他:わが国における児童期の性的被害の実態とその影響.精神保健研究15: 23-28, 2002
 安藤久美子,:性暴力被害者のPTSDの危険因子-日本におけるコミュニティサーベイから.精神医学 42:575-584,2000.

(7)精神科看護について
 統合失調症を中心とする精神疾患をもつ患者の体力についての研究や、心理教育・予防教育に関する仕事に関わってきた。
 影山隆之,:精神分裂病入院患者の体力測定の試み(2)-最大酸素摂取量についての基礎的検討.日本社会精神医学会誌10(1): 105-106, 2001.
 原田誠一,:一般者を対象とした精神分裂病に関する疾患教育の作成(第1報)分裂病の1次・2次予防を目指すパンフレットの作成.精神医学 41:811-819,1999.
 原田誠一,:一般者を対象とした精神分裂病に関する疾患教育の作成(第2報)疾患教育の受講者を対象にしたアンケート調査の結果.精神医学 41:937-945,1999

3)活動学会等・関係NPO(順不同)

日本精神衛生学会(常任理事,編集委員長)

日本自殺予防学会(常務理事,編集委員長)

日本学校メンタルヘルス学会(常任理事・編集委員)

日本社会精神医学会(評議員)

日本産業衛生学会(編集委員)

日本公衆衛生学会, 日本精神保健看護学会,日本睡眠学会,日本学校保健学会,

日本産業精神保健学会,日本騒音制御工学会

大分県自殺対策連絡協議会(副会長),豊後大野市自殺対策連絡協議会(助言者)

日本キリスト教医科連盟日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)