大分県立看護科学大学附属図書館 Oita University of Nursing and Health Sciences Library

2013年11月図書紹介

 「本を読む本 (原題 HOW TO READ A BOOK)」

Mortimer J. AdlerCharles Van Doren 著  外山滋比古、槇未知子 訳
(講談社学術文庫 1972年)
 
 良い本を読みながら眠ってしまった経験はありませんか?
 私が紹介するこの本は、「読むに値する良書を、知的かつ積極的に読むための規則を述べたもの」です。
 この本の著者であるモーティマー・J・アドラー氏は、「良い本をよみながら眠ってしまうような人は、読む努力をしようという気がないのではなく、努力のしかたを知らないのだ」と述べたうえで、さらに「積極的な読書をつづけるには意志の力だけではだめである」とも述べています。
 
 それでは、自分を引き上げることのできる読書の「技術」を身につけ、「本を自分のものにする」にはどうすればよいのでしょうか?それは、「読んでいるあいだに質問をすること」であり、こういう能力を訓練すれば、読書の「技術」をみがくことができるそうです。ただし、どんな質問でもよいわけではありません。正しい質問を正しい順序でする習慣をつけることが重要とのことです。本を読む方法について、もっといろいろ知りたい方は、どうぞこの本を読んでみてください。
 
 ちなみに、説明には国外の古典や名著が数多く用いられ、若い学生の皆さんにとっては馴染みのない部分もあるかもしれませんが、卒業研究のために複数の論文を読み進めている4年生の皆さんや、これから卒業研究に挑む3年生の皆さんなどにとっては、文献の読み方などに関して、とても参考になる良い本だと思います。
 
石田 佳代子(看護アセスメント学研究室)
 
 

2013年10月図書紹介

「龍馬を殺したのは誰か」 

相川 司 (河出書房新社 2009年)

 

 歴女という言葉が流行し、日本史に興味を持つ人も少なくはないと思います。2014年の大河ドラマは「軍師官兵衛」、中津市のホームページでも大々的にとりあげられており、ここ大分ではその歴史ブームはまだまだ終わりそうにありません。

 

 私が紹介する本は、そんな日本の歴史にまつわる一冊です。幕末最大のミステリーとされる坂本龍馬暗殺の近江屋事件。事件前後に関わった人々あるいは近江屋事件に関する証言や後日談は少なくないにも関わらず、これまでにあらゆる「犯人説」が登場しています。この本では、ある一つの結論を出しているのですが、そもそも何故このように様々な説が存在するのかを丁寧に導き出し、幕末最大の謎を解き明かしていきます。

 

 本の中身を少しだけ紹介しますが、事件の謎を解くポイントは、まず近江屋事件は龍馬「暗殺」ではなく、公務による「殺害」であったこと。公務執行の理由は、この前年に伏見奉行所管内で起きた坂本龍馬による「警官殺し」の寺田屋事件。これを読んで、ん?と思われる方も多いと思いますが、このように当時の状況を現代風に分かりやすく解説しています。

 

 そして、もう一つポイントとなるのが、龍馬と共に殺害された中岡慎太郎の存在。中岡が共に倒れていたことが事件の謎を生み出すきっかけとされています。中岡慎太郎も陸援隊の隊長、立場は対立しますが、龍馬と同じように浪人の巨魁として、とても大きな存在でした。なぜ中岡が事件の謎に関係するのか。これについては、当時の社会情勢が大きく影響しています。先ほど紹介した公務による殺害の正当性が主張されなかった理由も、龍馬や中岡を取り巻く状況がそれを許さなかったようです。この本では近江屋事件を紐解くため、明治維新前後の出来事を詳しく解説しています。

 

 謎解きのポイントをいくつか紹介しましたが、これまでにない視点で近江屋事件の真相が描かれており、この本を読めば誰が殺害したかは勿論のこと、近江屋事件が幕末最大のミステリーとされる所以もスッキリ腑に落ちると思います。この本が持つ説得力も魅力のひとつで、相手に何かを主張する時の参考にもなるのではないでしょうか。ページ数は決して多くはないですが、他にも事件の謎を解くたくさんの鍵が紹介されています。いろいろと思考もできて面白いですよ。勉強の合間に頭の体操として、手にとってみてはいかがでしょうか。

 

巻野 雄介 (基礎看護学研究室)