【研究紹介】妊娠中期の体重増加量率と出生体重及び妊娠期間との関連

母性看護学・助産学研究室 関屋伸子

 

1.はじめに
 日本では、新生児の平均出生時体重は着々と減少しています。若い日本人女性における喫煙の流行や行き過ぎたやせは新生児体重を減少させることにつながるかもしれません。妊婦の体重増加量の少なさは子宮内胎児発育遅延児(SGA)や早産の危険因子であることが示唆されています。従って、低出生体重児が出生するかもしれないという危険は、妊娠期間中のうちで最も重要な期間における適切な母体の体重増加によって縮小されるかもしれません。しかし、いずれの妊娠期の体重増加が最もそれらに影響を及ぼすかは明白ではありません。
 よって、本研究は合併症がなく正期産で経膣分娩であった妊婦の異なる妊娠期間における体重増加量と出生時体重及び妊娠期間の関係を調査することを目的として実施しました。

 

2.方法
 1997年1月から2003年12月の期間におけるA病院の妊娠経過記録と分娩記録を後方視的に調査しました。対象は正期産(妊娠37週0日から妊娠41週6日)で単胎の経膣分娩となった合併症がない472名の女性としました。
 妊娠期間を正期産早期(妊娠37-38週)と正期産後期(妊娠39-41週)の2期に分類し、妊娠期間における属性の影響を査定しました。独立変数は母体年齢、経妊回数、経産回数、身長、非妊娠時体重、妊婦体重増加量、喫煙、飲酒、新生児の性別としました。子宮内胎児発育遅延児(SGA)と妊娠期間の短縮化の影響はオッズ比で示し、ロジスティック回帰分析は95%信頼区間で用いました。妊娠各期の体重増加率と出生時体重及び妊娠期間の長さとの相関関係にはピアソンの相関係数を用い、他の統計手法は対応のないt検定とフィッシャーの直接確率検定を用いました。有意確率は5%(p<0.05)としました。
 
3.結果

 Table1.は対象の属性を示しています。正期産早期の平均出生時体重は2,905±375gで、正期産後期の3,154±382gと比較し有意(p<0.05)に軽く、正期産早期における低体重児(<2,500g)の出現は正期産後期(10.6 vs. 5.2%, p=0.029))と比較して有意に重い結果となりました。また、妊娠初期の体重増加量は妊娠中期及び末期(それぞれp<0.001)と比較して有意に低かったですが、妊娠中期と妊娠末期の間の体重増加量に有意差はなく、妊娠中期における体重増加量が最も高値でした。対象妊婦の喫煙率は8.5%で、大多数の喫煙者(70.0%)は一日あたり11本以下の喫煙をしていました。

 

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 低い非妊娠時体重と低い妊婦体重増加量は、Table2.に示したように、いずれもと妊娠週数の短縮化の独立した予測因子でした。間隔変数における調整後オッズ比は、その間隔変数1単位あたりのオッズ比を示します。 

 

sekiya_fig2.png

 

 非妊娠体重、妊婦体重増加量、妊娠中期の妊婦体重増加率は、Table3.が示すように出生時体重及び妊娠期間の長さと有意に関係しています。また、妊娠中期の妊婦体重増加率と出生体重及び妊娠期間には有意な相関関係(それぞれr=0.32,p=0.005;r=0.40,p=0.0003)を認めました。

 

sekiya_fig3.png 

 

4.考察
 本研究は正期産に対する後方視的調査でしたが、妊娠中の体重増加不足や体重増加量の低さは子宮内胎児発育遅延児(SGA)の増加や妊娠期間の短さと有意に関係していました。また、非妊娠体重及び妊婦体重増加量は両者とも出生時体重と妊娠期間の長さと有意な関係がありました。栄養上の問題が子宮内胎児発育遅延児(SGA)や短い妊娠期間と関係していることが最近の研究から考えられました。 

 妊娠中期における体重増加値と出生時体重の間に有意な相関関係を認めました。妊娠初期、妊娠中期、妊娠末期において、各妊娠期間中の体重増加率は低いか低くない、の2つに群に分けられますので、各期を通して見た場合は8つの異なる体重増加パターンがあります。比較された体重増加パターンは、妊娠各期のいずれも低くない群と比較すると、妊娠初期と中期が低い場合は133.0g低下し、妊娠中期と末期が低い場合は88.5gの出生時体重の減少がみられましたが、妊娠初期及び妊娠後期に低い体重増加を示した群は出生時体重の変化に有意な変化は認められませんでした。妊娠中期の体重増加値は、Table1.が示すように最高値でした。妊娠中の平均体重増加の値は妊娠中期において最大となることは広く支持されています。

 本研究では、妊娠期間の長さと妊娠中期における体重増加量に有意に相関をしていました。この結果は妊娠期間の長さにとって最も敏感な時期は妊娠中期であることを意味しています。妊娠期で最も影響を受けやすい時期における適切な妊婦体重の増加は平均出生時体重の増加に寄与するでしょう。

 

5. 結論
 妊娠のはじめから終りまでの大部分と同様の妊娠中期における妊婦の体重増加量は出生時体重及び妊娠期間と相関関係がありました。妊娠中の体重増加が胎児体重と妊娠期間の長さに最も影響する時期は妊娠中期の可能性があります。
 

論文掲載 Maternal Weight Gain Rate in the Second Trimester Are Associated With Birth Weight and Length of Gestation:Gynecologic and Obstetric Investigation 2007;63;45-48

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