小児CT検査頻度数の推定と国際比較

更新日2012.11.26

環境保健学研究室 小野 孝二

 1895年にRontgenによってX線が発見され、人工的に放射線が利用されるようになった直後から医療に欠かせないツールとして利用されてきました。現在では胸部X線検査などの一般撮影をはじめ、CT (Computed Tomography)やPET (Positron Emission tomography)などの診断、エックス線や粒子線を用いた治療、IVR (Interventional Radiology)など幅広い分野で利用され、その技術の発展は目覚ましく高度化しています。国連科学委員会(UNSCEAR)の報告では医療被ばくの世界平均線量は増加し、2009 年の米国放射線防護審議会(NCRP)では、米国民の受けるすべての放射線線量の24%はCT検査から受ける被ばくと報告されています。その背景にはCT機器の性能向上による画質や情報量の向上、検査時間の短縮による検査数の増加などが考えられます。CT検査の増加に伴い、特に小児への健康影響は懸念されています。問題となるのはガンであり、その理由は小児の放射線感受性は成人に比し1.5倍から2倍ほど高いとされているからです。
 現在わが国には年齢別のCT検査状況を把握する体制はありません。我々は全国調査からCT保有施設の病棟数とCT検査頻度数に相関関係があることを導きだし、全体のCT検査頻度数を推定し、厚生労働省の社会診療報酬データを利用して小児の割合を算出することで小児CT検査頻度数を推定しました。日本は米国に次いでCT検査頻度が高いことが判明しました。小児のCT検査頻度の実態把握を国際的な視野から比較評価していくことは重要です。


図1. 米国、英国、日本の小児CT検査頻度の推移比較

K. ONO, T. YOSHITAKE, T. HASEGAWA, N. BAN and M. KAI; Estimation of the number of CT procedures based on a nationwide survey in Japan, Health Phys., 100, 491-496 (2011).