地域包括ケアシステムの構築に向けた病院の取り組みに関する調査

更新日2017.01.10

保健管理学研究室 福田広美

[はじめに]

 2025年は、超高齢社会の進展により医療と介護の連携がより一層必要とされ「地域包括ケアシステム」の構築が必要となっています。地域包括ケアシステムは、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される仕組みです。このシステムを構築するうえで、病院では、特に、入院患者さんが在宅に退院する際に、地域の様々な医療や介護等と連携することが大切になります。本研究では、地域包括ケアシステムの構築に向けた病院の取り組みと地域の連携について調査を行いました。

 

[方法]

 調査は、A県内の医療機関を対象に郵送調査を行いました。主な調査内容は1)病院と地域の医療や介護施設等との連携、2)地域包括ケアに向けた病棟の看護や教育・研修、3)医療介護福祉の地域連携、4)地域包括ケアに対する病院の現状および地域包括ケアシステムの課題等について調査を行いました。調査の結果を一部ご紹介します。

 

[結果と考察]

 本調査は、一般急性期病棟や地域包括ケア病棟をもつ医療機関の方々にご協力を頂きました。各施設の地域連携に関する取り組みでは、「近隣の医療・介護施設関係者(多職種)と顔の見える関係の構築」が多く行われていました。また、退院支援室や地域連携室を有する施設も、全体の7割を超えていました。地域包括ケアに向けた病棟の取り組みでは、「近隣の医療・介護施設の担当者連絡リストの活用」を行う施設が多く、地域包括ケアを進めるうえで、身近な方法として活用されているようです。

 「地域包括ケアや地域連携に関する教育・研修」を良く実施している病院では、地域の多職種と話し合う機会が多く、地域のネットワークを広げていました。こうした教育や研修が、地域包括ケアの重要性を理解し、具体的な活動に繋げる機会となっているようです。「多施設合同の多職種による事例検討」も有効な取り組みとして行われ、具体的な事例の検討を通して、地域の医療と介護を担う多職種の方々が、ネットワークを築いている様子がわかりました。

 本調査では、今後、地域包括ケアを進めるうえで必要なことの一つに、「患者さんやご家族に理解をもとめる働きかけ」があげられました。地域包括ケアの重要性について、患者さんやご家族に理解してもらうことで、医療や介護を利用する方々を中心とした地域包括ケアシステムの構築に繋がります。2025年、2030年に向けて、今後も地域包括ケアへの取り組みを勧めていくことが期待されます。本調査にご協力頂きました皆様に心から感謝申し上げます。

 

文献

阿部泰之,森田達也(2014).「医療介護福祉の地域連携尺度」の開発.Palliative Care Research 9(1),114-120.

厚生労働省(2013).地域包括ケアシステム「地域包括ケアシステムの実現に向けて」. http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/

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