なぜ姫島村は健康寿命が長いのか?

更新日2015.07.01

 

健康運動学研究室 稲垣敦

 

 

 

 あなたは何歳まで生きられるか?この答の90%は、あなたの生活習慣で決まります。しかし、それはある一つの決定的な生活習慣で決まるわけではなく、数多くの生活習慣が関わっています。大分県の北東部、国東半島沖6Kmにある姫島は、総面積6.87Km2、人口2,189人、世帯数913の離島です。姫島村の高齢化率は33.6%ですが、要介護認定率は11.6%(同73.62歳、73.19歳)と極めて高いのです。そこで、この理由を明らかにするため、厚生労働省老人保健健康増進等事業として慶應義塾大学と共同で姫島村の調査を行いました。

 

 その結果、肥満度は男性でやや高く、女性では痩せおよび肥満が少ない傾向でした。また、運動機能では男女とも10m全力歩行速度だけが全国値より有意に高く、それ以外は低い傾向でした。身体活動では1日の歩数は、65〜74歳で男性8,058歩(全国6,703歩)、女性8,516歩(同5,705歩)と全国値よりも高く、身体活動時間も厚生労働省の目標値である40分/日を大きく上回っていました。一方、身体活動量と運動習慣を有する者の割合は全国並でしたが、自転車を毎日利用する者の割合は男性32.8%、女性63.9%で、全国値(10〜35%)と比べると特に女性で高いことがわかりました。このように、姫島村の高齢者はスポーツや運動を特に多くしているわけではなく、一日の歩数が多く、自転車利用頻度が高く、身体活動時間(家事、農作業等)も長く、これらが歩行能力を高く維持し、活動範囲を広め、社会参加やコミュニケーションが増して孤立を防ぎ、認知機能や運動機能の低下を予防しているというのが健康寿命延伸の一因と推測されます。そして、これらには九州本島からフェリーで20分と近く、人口密度も適度で、温暖、適度に狭く、平地が多く、これにより自動車が少なく徒歩や自転車を利用しやすい等、気候や地形という環境が関与しています。これに加え、3名の医師が常駐する立派な診療所がある点も見逃せません。今後、さらに、家族構成、食習慣、趣味、生き甲斐、休養、ストレス、社会参加、人間関係、健診データ等の解析を進めていく予定です。