5日間連続夜勤における疲労の発現と変動

更新日2017.11.01

地域看護学研究室 緒方文子

 

【研究背景】

 夜勤・交代制勤務者は,普段は眠るべき時間帯に働くために,心身に様々な問題を生じさせることが明らかとなっている.夜勤による疲労は,日周性疲労を通り越して即座に慢性化しやすいことから,夜勤・交代制勤務者は健康問題を生じやすいと言われている.そのため,連続夜勤における日周性疲労と慢性疲労の双方の現状を日勤との比較の中で明らかにすることが必要であるが,先行研究では勤務条件や対象者の属性の影響が排除できていない.
 そこで本研究では,5日間連続夜勤を5日間連続日勤と週替わりで行う者に対して,夜勤時と日勤時の日周性疲労及び慢性疲労に関する調査を行い,連続夜勤者の日周性疲労の程度や変動,慢性疲労に影響する要因を明らかにすることを目的とした.

【研究方法】(図1)
 製造業(木材加工業)に従事する男性94名に対し,自記式質問紙調査を実施した.内容は基本的属性及び,日周性疲労の評価のための「自覚症しらべ」,慢性疲労の評価のための「労働者の疲労蓄積度チェックリスト」である.属性及び慢性疲労は,調査初日の勤務前,日周性疲労は休み明けの勤務初日の勤務前と勤務終了後に毎日調査を行った.
 夜勤と日勤における日周性疲労を勤務日毎に比較するため,Wilcoxon signed-rank testを実施した.夜勤と日勤における日周性疲労の変動を比較するために,Two-way ANOVAを実施した.また,慢性疲労が高い人の特徴を把握するために,慢性疲労の得点が0~1点の人を慢性疲労が低い群,2~7点の人を慢性疲労が高い群に分け,Mann-Whitney-U testを実施した.
 解析にはSPSS Statistics 23.0を使用し,統計学的検定において5%水準で差が見られた場合を「有意差あり」とした.

【結果】
 研究参加者94名に調査票を配布し,全てを回収した.出張や休暇,突発的な休みにより連続勤務が5日間未満の者12名,休日出勤により5日を超えて勤務した者44名を除外し,最終的には,データに欠損がなく,5日間連続夜勤の後に5日間連続日勤を行った38名を分析対象とした.
 対象者の平均年齢は27.8±8.4歳で,この仕事における勤務期間は63.1±38.2ヶ月,夜勤従事期間は51.2±32.8ヶ月であった.夜勤時の平均睡眠回数は1~3回,夜勤時の平均睡眠時間は370.8±71.0分であった.(表1)


 夜勤と日勤における日周性疲労の得点を比較すると,休み明けの勤務前は日勤の得点が高く,勤務後では全ての日で夜勤の得点が高かった.特にねむけ感では,全ての日で有意差が見られた.変動は,夜勤と日勤でほぼ同様に推移した.(図2)慢性疲労が高いと判断された22名は,低い者より日周性疲労の得点が低く,特に夜勤の得点が有意に低かった.
(表2).

【考察】
 休み明けの勤務前の日勤の得点が高かったのは,勤務シフトが「夜勤から日勤」の場合では休息時間が51時間,「日勤から夜勤」の場合では73時間と,休息時間の差が影響したと考えられた.夜勤と日勤における疲労の変動は,規則的なシフトの影響により独自の週内リズムが形成され,ほぼ同様に推移したと推測される.しかし,夜勤に慣れがある本研究対象集団であっても,全ての日で夜勤時の疲労が高かったことから,5日間連続夜勤は決して望ましい勤務体制ではないことが再認識された.慢性疲労が高い者は仕事への慣れから日々の疲労に対して無自覚であり,特に夜勤における疲労に対して無自覚になっていると考えられる.

【結論】
 今回の結果から,日周性疲労と慢性疲労の双方の現状を把握することが,夜勤・交代制勤務者への保健指導や職場環境改善の目安,労働災害防止のための注意喚起の際に必要と考えられた.

 この研究発表は、日本職業・災害医学会会誌Vol.5,No.4,p190~200,2017. において発表されたものの一部です。

 本研究は、以下の助成金の支援を受けた研究の一部です。
平成25年~27年度科研費助成金 若手研究(B) 「連続夜勤による疲労・ストレス・眠気の発現と変動」(課題番号25862272)