特別支援学校に看護師導入後の医療的ケアの質に関する保護者の評価

更新日2018.12.12

 

小児看護学研究室 高野政子

【緒言】
 文部科学省の報告によると、医療的ケアを必要とする幼児・児童・生徒は過去6年間で約1.3倍に増加しています。本研究の目的は、Donabedianによる質の評価の枠組みを用いて、特別支援学校に通学する児童生徒の保護者により看護師導入後の医療的ケアの質を評価することです。今回の研究紹介では、卒論生と一緒に実施した調査研究の一部を紹介します。

【方法】
 調査は、平成25年6月~8月に無記名の自記式質問紙法にて実施しました。対象者はA県内の特別支援学校10校の医療的ケアが必要な児童生徒の保護者52名です。質問項目は、属性8項目、学校のケア環境など6項目、相談など医療的ケアの内容について18項目、児の健康状態など医療的ケアの効果について12項目で構成し合計44項目でした。4段階のリッカート法で回答を求めて得点化しました。対象者の属性などを記述統計し、属性を2群に分けてMann-Whitney U検定しました(有意水準は5%)。看護師や学校対する保護者の意見は自由記述としました。本研究は、本学の研究倫理安全委員会の承認を得て実施しました(承認番号:763)。

【結果】
 質問紙は52部配布し、24部(回収率46.2%)の回答をすべて有効としました。対象者は、母親23人(95.8%)、父親1人(4.2%)でした。平均年齢は41.3±6.3歳であり30~41歳11人(45.8%)、42~49歳13人(54.2%)でした。通学する児に必要な医療的ケアは、「口腔・鼻腔内吸引」が最多で78.3%で、次に経管栄養47.8%、気管切開部からの吸引が39.1%、ネブライザーによる吸入が34.8%など呼吸管理と経管栄養が多いことが分かりました。

 本研究では、Donabedianによる質の評価の枠組みである『構造』『プロセス』『アウトカム』の3要素で検討しました。要素を『 』カテゴリーを< >で表すと、『医療的ケアの内容(プロセス)』では<看護師への相談>で児の健康状態の観察方法に関する相談、医療処置の方法に関する相談の得点が高かった。『医療的ケアの効果(アウトカム)』では<児の健康状態>で学校生活に満足している、精神的に安定している、身体状態が回復している等で得点が高いという結果でした。対象者の年齢を30~41歳の保護者群、42~49歳の保護者群の比較では、就学や進学など児の学校に関する相談(1.55±0.69<2.25±0.75)と患者会など地域の社会資源に関する相談(1.20±0.42<1.83±0.58)となり、若い保護者群の相談が少ないという結果でした(P<0.05)。自由記述は25件がありましたが、『児の体調の改善による安心感や感謝の気持ち』として、<心配の軽減>や、<看護師勤務に対する感謝>、<安心して預けることができる>、<児の体調の改善><児の様子をよく観てくれる>などが記載されていました。その一方で、『看護師の負担と増員の必要性』など要望の記載がありました(表3参照)。

【考察】
 保護者は看護師へ主に児の健康状態の観察方法や医療処置の方法に関する相談をしていました。30~41歳の若い保護者群は42~49歳の保護者群よりも看護師へ相談していませんでした。看護師から若い保護者に意識的に関わる必要があると考えます。また、看護師導入の効果は、児の健康状態が改善し、保護者の負担が軽減できていたことが明らかになりました。その他の重要な効果として、保護者は<適切な医療機器><適切なケア手順>を高く評価していました。保護者は特別支援学校に看護師が配置されたことで、医療職者の視点で学校における医療的ケアが実施されるようになり、適切な呼吸管理や手順で医療的ケアが実施できていると捉え、安心ということに満足している。一方で、現在はほとんどが非常勤の看護師で、不在時もある点に改善や充実を期待していると考えられました。