在宅療養児への訪問看護師の介入に対する母親の意識と満足の実態

更新日2020.01.08

小児看護学研究室 草野淳子

1. 背景
 人工呼吸器などの医療的ケアが必要な在宅療養児の訪問看護では、対象者が重症である場合が多く、在宅療養児をケアする専門的な知識や技術等が求められます。このような子どもの看護では、日常的に全身状態の観察、緊急時の判断の他、清潔や食事などの生活援助を実施する能力も必要です。また、訪問看護師にはケアの実践力だけでなく、子どもの成長・発達を理解した関わりや、慢性的睡眠不足、子どもの将来への不安等、様々な身体的・精神的負担を背負う御母様への支援も重要です。ケアを行う御母様や家族の負担軽減、関連機関とのネットワークづくり、時にはよい相談相手となりうるような子どもの訪問看護が必要ですが、その実態は把握されていません。

2. 研究目的
 本研究の目的は、訪問看護師の介入に対する在宅療養児の母親の認識を明らかにすることです。

3. 研究方法
 調査は、平成26年9月~10月に実施しました。対象者は、全国の訪問看護ステーションにおいて、訪問看護を利用している在宅療養児の御母様としました。同意が得られた82施設の訪問看護ステーションの管理者に、在宅療養児の御母様に質問紙を配布していただきました。質問紙は、独自に作成した無記名の自記式質問紙法で実施しました。訪問看護師の介入に対する御母様の認識26項目は「全くしない」から「よくする」、訪問看護導入後の御母様の満足度7項目は「全く思わない」から「よく思う」の4段階のリッカート法で回答を求めました。結果は1点から4点の平均値で示しています。

4. 結果
 有効回答は205部(11.8%)であり、御母様の平均年齢は38.5歳でした。在宅療養児の平均年齢は6.1歳で、主疾患は脳・神経系疾患85名(41.5%)が最も多く、次いで呼吸器系疾患67名(32.7%)でした。医療的ニーズは、経管栄養・胃瘻の管理153名(74.6%)が最も多く、次いで気管内吸引の実施132名(64.4%)でした。訪問看護師の介入に対する御母様の認識を表1に示します。

5. 考察
 本研究では、5歳以下の在宅療養児が多く、乳幼児に訪問看護のニーズが高いと考えます。また、呼吸器系疾患の在宅療養児は7割以上でしたが、先行研究と比較して人工呼吸器装着の児は少なかったです。
 経管栄養や気管切開、人工呼吸器を使用する在宅療養児の御母様は、病院とは異なる環境の中で、児の健康状態の観察の視点を養い、家庭で生活しながら子育てを行うことが必要です。このため、本研究の御母様は、訪問看護師が「子どもの健康状態の観察に関する相談に応じる」「子どもの生活に関する相談に応じる」ことを意識していました。御母様が子どもの健康状態の観察方法を学び、緊急時の対応が出来る様に支援し、御母様が相談しやすい関係を築くことが必要です。
 一方、レスパイトケアの調整、地域の社会資源に関する相談、公的制度や手続きの調整については御母様の意識は低かったです。在宅療養児の日々のケアを行う母親は様々なストレスを抱えていると予測され、気分転換や休養が必要です。レスパイトケアなどの社会資源や制度を有効に利用しながら在宅での生活を送ることが理想的です。したがって、訪問看護師は、必要なサービスがスムーズに利用できるように情報提供を行うことが望まれます。
 御母様の満足度では、他者に訪問看護を勧めたい、子どもの健康状態が安定・回復しているなどの項目で意識が高く、訪問看護に満足していることが伺えました。

6. 謝辞
 
本研究にご協力いただいた在宅療養児の御母様、訪問看護師の皆様に、心より深謝申し上げます。