妊婦の妊娠前後における健康生活の変化

更新日2015.02.10

母性看護学研究室 植田みゆき

Ⅰ.研究目的
一般的に妊娠・出産は病気ではないと言われおり、予防医学的な要素が多いのが産科領域の特徴です。そのため、今ある状態より、より健康的に生活することが大切です。そこで、妊婦の妊娠前後における健康生活の変化を明らかにし、保健指導の基礎資料に資することを目的としました。

Ⅱ.研究方法
 調査期間は平成25年8月~10月でした。調査対象者は大分県下の産婦人科に外来通院している妊娠28週以降の方としました。調査は、先行文献を参考に独自に作成した無記名自記式質問紙法を用いて、健康生活状態(運動・栄養・清潔・休息・睡眠・排泄)について答えていただきました。

Ⅲ.結果
427部配布し、316部(回収率74%)回収しました。そのうち、回答の不備がなかった310部を分析対象としました。対象者の属性は、年齢30.2±4.7歳、妊娠週数32.5±4.6週、初産婦180名(58.1%)、経産婦130名(41.9%)でした(表1)。 妊娠前の初産婦と経産婦の健康生活状態では「三食きちんと食べていた」と「湯船につかっていた」「身体を締め付けない下着を着用していた」「身体を冷やさないような服を着用していた」「尿漏れをしたことがあった」では、経産婦の方が初産婦より有意に多かったです。「外食をしていた」「アルコールを飲んでいた」では、初産婦の方が経産婦より有意に多かったです(表2)。

表1 対象者の背景

表2 初経産別健康生活状態比較(妊娠前)

 初産婦の妊娠前と妊娠後の健康生活を比較したところ「三食きちんと食べる」「運動をする」「便秘対策をする」「尿漏れをすることがある」について、妊娠後の方が妊娠前より多い結果となりました。「外食をする」「アルコールを飲んでいる」「喫煙する」「熟睡感がある」については、妊娠後の方が少ない結果となりました(表3)。

表3 妊娠前後の生活状態の変化(初産婦)

経産婦の妊娠前と妊娠後を比較したところ「三食きちんと食べる」「尿漏れをすることがある」「湯船につかる」「身体を締め付けない下着を着用する」について、妊娠後の方が多い結果となりました。「外食をする」「アルコールを飲んでいる」「喫煙する」「熟睡感がある」については妊娠中の方が少ない結果となりました(表4)。

表4 妊娠前後の生活状態の変化(経産婦)

Ⅳ.考察
 妊娠前の初経産の比較から、経産婦は上の子がいることで、上の子に合わせた生活を今回の妊娠前から送っていることが推測されます。初産婦は妊娠をきっかけに、健康生活状態を改善し、健康生活を送ろうと行動変容していることがうかがえます。経産婦も妊娠をきっかけに、妊娠前の生活以上により良い健康生活を送ろうと変化します。 
妊娠がわかってから数か月の間に、女性はより健康的な生活を送ろうと行動変容しています。専門家による保健指導で、妊婦の健康に対する意識が育成される(Miller,1986)と言われていることからも行動変容し易い妊娠期という好機に、助産師をはじめスタッフが、妊婦に積極的に関わっていくことが重要だと思います。妊婦の健康に対する意識が育成されれば、それはその子どもへも繋がることからも大切だと思います。
妊娠をきっかけに、健康的な生活に行動変容をし、子どもを育てていく過程でその生活が維持される可能性があることがわかりました。
最後にお忙しい中、アンケートにご協力いただいた妊婦の皆様、アンケート回収がスムーズに運ぶようご配慮いただいた病院・医院の皆様にこの場を借りてお礼申し上げます。

なお、この研究は本学研究室の卒論生と一緒に行った研究の一部を紹介しています。

引用文献
・Miller P(1986):Reducing risks during pregnancy, Patient Education and Counseling,8(2),207-212.