【研究紹介】災害時における黒エリアでの基本的な活動と訓練の重要性 ―熊本地震で活動した看護師への面接調査より―
研究者プロフィール
石田 佳代子<外部リンク>(看護アセスメント学研究室 教授)
研究キーワード:黒タグ者、看護師、熊本地震
研究紹介
研究テーマとその内容について教えてください。
災害時において、被災地で活動する医師や看護師は、自身も被災者であることもありながら、一人でも多くの命を救うために、最後まで手を尽くし対応しています。その中でもご遺体に関わる業務は、支援業務の中でも最も過酷なものの一つと言われています。この研究は、特に死亡者やそのご家族に対応する看護師にとって、看護師自身のストレス軽減につながるよう、望ましい対応を事前に学習できるような訓練ツールの開発に活かすための基礎的資料を得るために、熊本地震において、災害発生直後より死亡者やそのご家族に関わった看護師を対象とした面接調査で得たデータを用いて、基本的な活動の流れを明らかにしたものです。
現在の研究を始めようと思ったきっかけや、解決したい課題は何ですか?
まず、災害に関する研究は、役に立つのではないかと思いました。これが、災害看護に関する研究をしようと思ったきっかけです。そういう思いで調べてみると、災害時に一人でも多くの命を救うことの陰に、トリアージで黒と区分された「黒タグ者」である、命を救うことが困難と判断された人や、すでに死亡が確認された人、また、その家族に対応する看護師の存在が見えてきました。精神的に負担の大きい役目だと思い、その看護師のストレスを事前の訓練によって軽減できないかと考えました。それが、解決したい課題です。
先生の研究が、地域社会の中でどのように役立つと考えていますか?
災害はどこで起こるかわかりません。災害がそのようなものであれば、災害時において精神的に負担の大きい「黒エリア」(黒タグ者を収容する場所)を担当する看護師のストレスを事前の訓練で軽減できれば、また、家族の心情に配慮できるスキルをアップできれば、看護師にとっても、地域社会の人たちにとっても、そのための研究は役立つものと考えています。
この研究をどのように発展させていきたいですか?
この研究結果などを活かして、看護師としての望ましい対応をシミュレーションにより学ぶための看護師向けのDVD教材「看護師を対象とした災害時における黒エリアでの対応シミュレーション」を数年前に製作しました。これは、事前に黒エリアで起こり得ることを知っておくことで、受けるストレスの軽減に役立ち、また、黒エリアを担当する看護師の精神的な孤立を予防するための教材を目指したものです。これからも、災害への備えとして研修や訓練に広く活用でき、看護師以外の職種や看護学生にも役立つような教材の開発に力を注ぎたいと思います。
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