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大分県中小規模病院等看護管理支援事業

更新日:2020年8月25日 ページ番号:0000509

保健管理学研究室 福田広美<外部リンク>

1. 背景および目的

 大分県は中小規模病院が全体の約9割占め、質の高い医療を提供することが県の地域医療を推進するうえで重要となります。中小規模病院等の看護管理者は、質の高い医療において大切な役割を担いますが、市内から離れた地域では看護管理の能力を開発する機会が限られる等の課題があります。そこで平成29年度から厚生労働省看護職員確保対策特別事業として、「中小病院看護管理支援ガイドライン(主任研究者 手島恵・千葉大学教授)」を参考に、大分県中小規模病院等管理者支援事業を始めました(1)。平成30年度からは地域医療介護総合確保基金により事業を継続し、地域の多様な施設の看護管理の向上を目的に、地域連携の推進と質の高い医療の提供に繋げることを目指して取り組んでいます。

2. 大分県中小規模病院等看護管理者支援協議会(図1)

 本事業に先立ち、大分県中小規模病院等看護管理者支援協議会(以下、協議会とする)を設置しました。協議会は、大分県立看護科学大学、大分県看護協会、大分県が主体となり、大分大学や大分県看護管理者連絡協議会の協力を得て協議会を運営しています。協議会の基本方針は、地域の看護管理者が主体的に本事業に取り組み、看護管理を高められることとしました。

3. 看護の地域ネットワーク推進事業を基盤とした看護管理者支援事業(図1)

 本事業の取り組みは、保健所保健師が運営する「看護の地域ネットワーク推進事業(以下、看護ネットとする)」を基盤としています。看護ネットは、地域包括ケアを視野に、看護職の定着や質の高い看護に向けて、多様な施設の看護管理者が研修やイベント等を協力して行う活動です。本事業は、この看護ネットを基盤に平成29年度と30年度は豊肥地域で実施、平成30年度からは南部地域、令和元年度に豊後高田地域、令和2年度は国東地域でも始めています。看護管理者は、次世代の看護管理者やスタッフの育成等をテーマに、認定看護管理者や大学の教員等と共に、日々の看護管理について話し合い、現場の改善に繋げています(2-5)。

看護の地域ネットワーク推進事業を基盤とした看護管理者支援事業の画像

4. 大分県中小規模病院等看護管理者支援研修会

 本事業では、県内全体の看護管理の向上を目指した研修会も開催しています。平成29年度は千葉大学の手島恵教授、平成30年度は大阪府の看護管理者支援事業について講演が行われました。令和元年は看護管理における倫理をテーマに、大阪府立大学の志田京子教授による講演が行われ、今年は大分県と大阪府の看護管理者が発表を予定しています(6)。研修は看護管理者が自施設の取り組みについて成果を発表し、参加者の皆さんと情報や意見交換を行う交流の場となっています。

5. 大分県中小規模病院等看護管理支援事業の成果と今後

 豊肥地域や南部地域では、2年間のモデル事業を終えて、取り組みについて成果発表会を行いました。看護管理者の方々が、気づきや新たな知識を得て現場を改善する等、多くの成果が発表されました。豊後高田地域も事業2年目に入り、看護管理に関する振り返りや現場改善の取り組みが進んでいます。豊肥地域の看護ネットは日本看護協会ニュースにも活動が取り上げられ全国でも注目されました(7)。今後も看護ネットを基盤とした看護管理者支援を継続し、質の高い地域医療に繋げていきたいと思います。

参考文献

(1)中小規模病院看護管理支援事業ガイドライン<外部リンク>

(2)平成29年度厚生労働省看護職員確保対策特別事業大分県版中小規模病院等看護管理者支援事業報告書<外部リンク>

(3)平成30年度地域医療介護総合確保基金(医療分)活用事業大分県中小規模病院等看護管理者支援事業報告書

(4)令和元年度地域医療介護総合確保基金(医療分)活用事業大分県中小規模病院等看護管理者支援事業報告書

(5)手島恵(編集) 地域密着型病院の看護管理能力向上-指針と実践- 日本看護協会出版会 2019

(6)令和2年度大分県中小規模病院等看護管理者支援研修
日時:2020年10月24日(土曜日)13時00分~16時00分 場所:大分県看護協会
※研修の詳細や参加のお申し込みについては、7月以降に県内施設へチラシを郵送大学ホームページへの掲載等を予定しています。

(7)日本看護協会 協会ニュースvol.611(2018年8・9月合併号)

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