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周術期外来における術前不安に着目をした看護師の関わりの効果

更新日:2023年1月19日 ページ番号:0005495

保健管理学研究室 姫野雄太<外部リンク>

はじめに

 手術を受ける患者は病気に関すること、その後の生活のこと、家族のことなど様々な不安を抱えています。患者に寄り添いケアを提供する看護師にとって、少しでも安心して手術を受けられる環境を整えることは非常に重要です。しかし、最近では入院期間が短縮され、手術に向けた準備ができず、不安や環境の変化に戸惑いながら手術を迎えていることも報告されています。そのような状況を改善するため、入院前の外来で手術のための準備(周術期外来)を行う施設が増えてきていますが、その内容は施設によって異なっており、十分に時間が取れないことも問題視されています。
 そこで、手術前の不安を軽減するために、手術前の外来で手術室看護師が不安に着目をして面談をするという研究を実施したのでご紹介します。

対象と方法

 研究に協力が得られた1か所の医療機関で、対象群17名、介入群17名の計34名を対象に調査を行いました。研究者が作成した周手術期にまつわる不安を聞くためのガイドを使用した周術期外来を受けるグループ(介入群)とこれまで施設で行っていた周術期外来を受けるグループ(対照群)に分け、周術期外来受診時と入院時の不安の状態(STAI状態不安尺度得点)を比較しました。​

結果と考察

 周術期外来受診時と入院時の不安の得点を図1に示します。STAI状態不安尺度得点は、男性41点以上、女性42点以上であると高い不安状態と評価されます。そのため、周術期外来受診時はどちらの群も高い不安状態にあるといえます。
 入院時をみてみると、対照群では不安が高い状態のままほとんど変化はありませんでした。介入群では高い不安状態ではあるものの、周術期外来時よりも統計学的に有意に不安得点が減少したことが分かりました。
 以上のことから、入院前から患者が抱える不安に焦点を当て、ケアを行っていくことが必要だと言えそうです。より患者が不安を軽減することができ、安心して手術に臨むことができるようなケアを考えていくことが求められます。興味のある方はぜひ一緒に考えていきましょう。

STA1状態不安尺度得点の変化

*この研究は、日本看護研究学会雑誌に掲載される予定であり、上記はその一部を抜粋したものです。また、第24回East Asian Forum of Nursing Scholarsで発表しています。